「いつもの要素」を組み合わせる、アイデア発想の小さな発見
日常の「いつもの要素」から新しいアイデアを生み出す
日々の業務に追われていると、新しいアイデアがなかなか浮かばない、あるいはいつも同じような考え方から抜け出せないと感じることはないでしょうか。斬新なアイデアは、遠い世界や特別な場所から生まれるものだと考えがちかもしれません。しかし、実は私たちの身の回り、あるいはこれまでの経験の中に存在する「いつもの要素」を意識的に組み合わせることで、新しい発見やアイデアが生まれる機会は少なくありません。
この記事では、「いつもの要素を組み合わせる」という視点から、どのようにして日々の小さな発見をアイデアに繋げていくかを探ります。
なぜ「組み合わせ」がアイデアに繋がるのか
アイデアとは、しばしば既存の知識や経験、情報を再構成したり、異なるものを結びつけたりすることで生まれます。つまり、全くゼロから何かを生み出すというよりは、すでにある「要素」を新しい形で「組み合わせる」作業だと言えます。
例えば、あなたが営業職であれば、これまでに経験した成功事例、失敗事例、顧客との対話で得た情報、社内会議での議論、読んだ書籍の内容、さらには趣味や日常で得た気づき、これらすべてがアイデアの「要素」になり得ます。これらの要素を意識的に組み合わせてみることで、これまで見過ごしていた関連性や、新しいアプローチの可能性が見えてくることがあります。
具体的な「組み合わせ」の視点
では、具体的にどのように要素を組み合わせていけば良いのでしょうか。いくつかの視点をご紹介します。
1. 業務内の異なる要素を組み合わせる
自分の業務プロセスを構成する要素を分解してみましょう。例えば、営業であれば「ターゲット顧客」「提供するソリューション」「提案方法」「価格設定」「フォローアップ」「利用ツール」など、様々な要素があります。これらの要素を、通常とは異なる形で組み合わせてみます。
- 「特定のターゲット顧客」に対して、「通常とは違う提案方法」を試してみる。
- 「提案方法」に、「他の部署が使っている資料作成ツール」の表現方法を取り入れてみる。
- 「フォローアップ」に、「趣味で学んだ心理学」の知識を応用してみる。
このように、慣れ親しんだ業務プロセスの中でも、要素を分解し再構成することで、新しい打ち手が見つかることがあります。
2. 業務と全く関係ない要素を組み合わせる
これが最も新しい視点や斬新なアイデアに繋がりやすい方法かもしれません。日々の生活、趣味、ニュース、他の分野の知識など、業務とは直接関係ないと思われる要素を持ち込んでみます。
- 「商談のアイスブレイク」に、「最近読んだ歴史の本」から得た小話を活用できないか考えてみる。
- 「チームの目標設定」に、「好きなスポーツチームの戦略」を応用してみる。
- 「資料の構成」を考える際に、「料理のレシピ作成」のプロセス(材料選び、下ごしらえ、調理工程、盛り付け)を参考にしてみる。
一見無関係に見える要素でも、抽象度を上げて考えてみると共通点が見つかったり、思わぬヒントが得られたりします。
組み合わせるためのヒントと習慣
「組み合わせ」の視点を持つためには、普段から意識しておくことが大切です。
- 要素を意識的に分解する習慣: 目の前の出来事や情報について、「これはどんな要素で成り立っているのだろう」と分解して考えてみる癖をつけましょう。例えば、成功したプレゼンテーションがあれば、「話す内容」「話し方」「資料」「場の雰囲気」など、要素に分解して分析してみます。
- 異なる要素のストックを持つ: 日々のニュース、読書、人との会話、趣味などから得られた気づきや情報は、単なるインプットで終わらせず、アイデアの「要素」としてストックしておく意識を持つことが役立ちます。メモアプリやノートに書き留めておくと良いでしょう。
- 意図的に組み合わせてみる時間を持つ: 週に一度でも良いので、集めた要素をランダムに組み合わせてみる時間を作ってみましょう。「要素A」と「要素B」を無理やりにでも結びつけて考え、「そこから何が生まれるか」を探るブレーンストーミングのような時間です。
小さな組み合わせから生まれる大きな可能性
「いつもの要素を組み合わせる」という考え方は、特別な才能がなくても実践できるアイデア発想の方法です。日々の業務や生活の中には、すでに多くの「要素」が存在しています。それらを新しい視点で眺め、意図的に組み合わせる習慣を持つことで、これまで見過ごしていた小さな発見が生まれ、それが新しいアイデアや業務改善のきっかけに繋がる可能性があります。
まずは、身近な「いつもの要素」を一つ取り上げ、全く異なる分野の何かと組み合わせて考えてみてはいかがでしょうか。きっと、思わぬ気づきがあるはずです。