日々の記録の「小さな整理」で見つけた、過去の気づきを「活かせる資産」に変えるヒント
毎日取るメモ、本当に「活かせて」いますか?
日々の業務や打ち合わせ、あるいは移動中など、私たちは常に様々な情報をインプットし、多くの気づきやアイデアが生まれています。それらを忘れないように、スマートフォンやノート、PCのメモアプリなどに記録している方も多いのではないでしょうか。
しかし、後からそのメモを見返そうと思ったとき、「あの時のメモ、どこに書いたっけ?」と探すのに時間がかかったり、結局見つけられずに終わってしまったり、という経験はありませんか。あるいは、見返しても断片的な情報すぎて、当時の文脈を思い出せない、ということもあるかもしれません。
せっかく時間を使って記録した気づきやアイデアが、そのまま眠ってしまっている状態は、非常にもったいないことです。記録は、取った時点では単なる「情報」に過ぎませんが、後で見返したり、他の情報と組み合わせたりすることで初めて、「業務に活かせる資産」へと価値を高めることができます。
この記事では、私が日々の記録の「小さな整理」を習慣にすることで見つけた、過去の気づきを未来に繋げるためのいくつかのヒントをご紹介します。完璧なファイリングシステムを構築するような大掛かりな話ではなく、誰もがすぐに試せる「小さな発見」に焦点を当てています。
発見1: 記録時に「後から見返すキーワード」を意識する
多くのデジタルノートツールやメモアプリには、タグ付けやキーワードによる検索機能があります。しかし、漫然とキーワードを設定するだけでは、いざ探し出すときにうまく引っかからないことがあります。
私の小さな発見は、記録する際に「未来の自分が、このメモをどんな文脈で探しそうか?」を少しだけ想像してキーワードやタグを選ぶことです。
例えば、顧客との打ち合わせ議事録であれば、単に「〇〇社_議事録」だけでなく、「#〇〇社_課題」「#〇〇社_提案アイデア」「#〇〇社_次アクション」といった具体的なタグを加えます。あるいは、ある技術調査のメモであれば、「#技術A_概要」「#技術A_応用可能性」「#技術A_懸念点」のように、内容の切り口を表すキーワードも加えます。
これにより、後から特定の顧客の「課題」だけをまとめて見直したいときや、ある技術の「応用可能性」に関するメモだけを拾い上げたいときに、格段に効率よく情報にアクセスできるようになりました。記録の習慣に、ほんの少し「見返すための視点」を加えるだけで、情報の見つけやすさが劇的に向上することを実感しています。
発見2: 週に一度、強制的に「過去のメモを見直す時間」を作る
日々の記録はどんどん溜まっていきますが、意識して見返さないと、過去の自分からのメッセージに気づけません。かといって、全てのメモを丁寧に読み返す時間は取れません。
ここで見つけた小さな発見は、週に一度、15分でも良いので「過去のメモを流し見する時間」を設けることです。目的は「完璧な整理」ではなく、「偶然の発見」です。
この時間には、特定のテーマを決めず、ただただ過去の記録をさかのぼってスクロールしたり、ランダムに開いてみたりします。パラパラと眺めていると、「ああ、こんなこと考えていたな」「この時のアイデア、今の案件で使えないかな」「これとあのメモ、実は関係があるかもしれない」といった、予期せぬ気づきや関連性の発見が生まれることがあります。
これは、脳内で点と点が結びつくような感覚です。この見直しの習慣によって、一度は忘れていたアイデアが蘇ったり、異なるプロジェクトの知見が結びついたりして、新たな視点や行動に繋がることが増えました。時間を区切って行うことで、負担なく継続できています。
発見3: 記録ツール間の連携や情報のハブを検討する
仕事の情報は、メール、チャット、特定の業務ツール、そして個人のメモツールなど、様々な場所に分散しがちです。これにより、関連する情報が複数の場所に散らばり、一つのテーマについて深く掘り下げたいときに見つけにくくなることがあります。
全てを一つのツールに集約するのが理想かもしれませんが、現実的には難しい場合が多いです。そこで見つけた小さな発見は、完全に一元化できなくても、特定のテーマに関する情報を集約する「ハブ」となる場所を決めるか、ツール間の「小さな連携」を検討することです。
例えば、「プロジェクトXに関する情報」は、議事録、関連資料へのリンク、自分の気づきメモなど、分散している情報の場所へのリンクだけでも、特定のメモツールに集約しておく、といった運用です。
また、日常的に利用しているツールに簡単な自動連携機能があれば、試してみるのも良いでしょう。例えば、特定のチャットの発言を自動でメモツールに転送する、特定のフォルダに保存したファイルをメモツールの関連情報としてリンクさせる、などです。
これらの「小さなハブ」や「小さな連携」を作ることで、情報が完全に迷子になることを防ぎ、後からまとめて参照したいときに探しやすくなります。情報へのアクセス性が向上することで、過去の記録を「活かせる資産」として扱いやすくなるのです。
まとめ: 記録は「未来の自分への投資」
日々の忙しさの中で、記録を「整理する」「見返す」という時間はつい後回しになりがちです。しかし、ほんの少しの意識と「小さな整理術」を取り入れるだけで、過去の自分が残してくれた気づきやアイデアを、現在の、そして未来の自分のために「活かせる資産」に変えることができます。
記録を取る行為は、単なる備忘録ではなく、未来の自分への「投資」であると捉え直してみるのはいかがでしょうか。今回ご紹介したヒントの中から、一つでも「これなら試せそう」と思えるものがあれば、ぜひ日々の習慣に取り入れてみてください。過去の気づきが、きっと未来のあなたを助けてくれるはずです。