『ちょっと試してみるか』が業務を変える、小さな機能発見のログ
日々の業務に追われる中で、新しいツールや機能について学ぶ時間はなかなか取れないと感じる方も多いのではないでしょうか。既存のやり方で何とか業務は回る。そう考えると、「わざわざ時間をかけて新しいものを覚える必要はないか」と、つい新しい情報に触れる機会を後回しにしてしまいがちです。しかし、そうした情報の片隅に、日々の業務を少しだけ楽にしたり、新しい視点をもたらしたりする「小さな機能」が潜んでいることがあります。
今回は、そうした「小さな機能発見」がいかに業務に変化をもたらし得るか、そしてどのようにしてそれらの「発見」を日々の忙しさの中から拾い上げるかについて考えてみたいと思います。大がかりなツール導入や抜本的な業務改革ではなく、「ちょっと試してみるか」と思えるような、小さな一歩に焦点を当てていきます。
なぜ「小さな機能発見」が有効なのか
新しいツールや機能を本格的に導入・活用しようとすると、学習コストや導入コスト、そして「本当に効果があるのか」という不安がつきまといます。これらは、忙しいビジネスパーソンにとって大きな障壁となります。一方で、「小さな機能」に焦点を当てることには、いくつかの利点があります。
- 試しやすい: 特定のショートカットキー、特定の表示オプション、一つの簡単な連携機能など、試すための心理的・時間的ハードルが低い傾向にあります。
- 効果が分かりやすい: 特定の作業にかかる時間が短縮されたり、特定の情報の見落としが減ったりと、比較的小さな変化でも具体的な効果を実感しやすい場合があります。
- 成功体験を積み重ねやすい: 小さな成功体験が、「もう少し深く使ってみよう」「別の機能も試してみよう」という前向きな気持ちにつながります。
こうした小さな一歩から得られる気づきは、すぐに日々の業務に活かせるため、発見の喜びをすぐに感じることができるのです。
日常業務に潜む「小さな機能」を見つけるヒント
では、具体的にどのようにして、そうした「小さな機能」を見つければ良いのでしょうか。
- 既存ツールの「設定」や「オプション」を覗いてみる: 普段何気なく使っているツールにも、意外と多くの設定項目やオプションがあります。例えば、メールクライアントのフィルタリング設定の詳細、カレンダーアプリの通知方法の多様性、文書作成ツールの自動整形オプションなどです。全ての項目を理解する必要はありません。「これは何だろう?」と気になった項目を一つだけ調べてみるだけでも、新しい発見があるかもしれません。
- ヘルプドキュメントやチュートリアルを「拾い読み」する: 全体のマニュアルを読むのは大変ですが、特定の機能について知りたいと思ったときに、関連するヘルプドキュメントの一部だけを読んでみるのはどうでしょうか。あるいは、ツールベンダーが提供する短いチュートリアル動画を一つだけ見てみるのも有効です。
- 他の人の使い方を「見て学ぶ」: 同僚や知人が、自分の知らないツールの使い方をしているのを目にすることがあります。「それどうやってやるんですか?」と気軽に尋ねてみることで、思わぬ機能に出会うことがあります。オンラインのユーザーコミュニティやSNSでの情報交換も有効です。
- 公式ブログやアップデート情報に「目を通す」: ツールの提供元が発信するブログやアップデート情報には、新機能や既存機能の改善点などが掲載されています。全てを読む必要はありませんが、タイトルや見出しをざっと眺めるだけでも、「こんな機能が追加されたのか」という気づきが得られます。特に「小さな改善」として紹介されている機能に注目すると良いでしょう。
これらの行動は、それぞれが「小さな一歩」です。まとまった時間を確保する必要はありません。休憩時間や、ある作業の合間など、数分間のスキマ時間を活用して試すことができます。
「試してみるか」の具体的な例
例えば、以下のような「小さな機能発見」は、日々の業務にすぐに活かせる可能性があります。
- 表計算ソフトのショートカットキー:
Ctrl + Shift + L
(Windows) やCmd + Shift + L
(Mac) でオートフィルターを一瞬で設定・解除できることを知る。これにより、データの絞り込み作業が格段に速くなります。 - コミュニケーションツールのリマインダー機能: 特定のメッセージに対して「後でリマインドする」設定があることを知る。これにより、流れてしまいがちな重要な情報やタスクを見落とすリスクを減らせます。
- クラウドストレージのバージョン履歴: ファイルの過去のバージョンが自動的に保存されている機能を知る。これにより、誤って重要な部分を削除してしまった場合でも、簡単に元に戻せるという安心感を得られます。
- Webブラウザの検索エンジンの切り替えショートカット: アドレスバーで特定のキーワード(例:
g
やy
)を入力してからスペースを押し、検索語を入力すると、指定した検索エンジン(GoogleやYahoo!など)で直接検索できる機能を知る。情報収集の際に、検索サイトを開く手間を省けます。
これらはあくまで一例ですが、こうした小さな機能一つを知っているかいないかで、日々のストレスや無駄な時間が少しずつ減っていくことを実感できるでしょう。
小さな発見を次に繋げるために
見つけた「小さな機能」を一度試してみたら、それが自分の業務にどのように役立つか、あるいは役立たないかを考えてみることが重要です。もし役立つと感じたなら、それを意図的に使ってみる習慣をつけてみましょう。最初は意識が必要ですが、慣れてくると自然にその機能を使うようになり、それが自身のスキルの一部となります。
また、その発見を同僚と共有してみるのも良いでしょう。「これ、便利ですよ」と伝えることで、チーム全体の効率アップにつながる可能性もあります。自分の発見を人に話すことで、理解が深まるという側面もあります。
日々の忙しさの中で、新しいこと全てに挑戦するのは現実的ではありません。しかし、「ちょっと試してみるか」という軽い気持ちで、身の回りのツールや情報に目を向けてみることで、業務改善や新しい挑戦に繋がる「小さな発見」が見つかることがあります。そうした発見一つ一つが、日々の業務を少しずつ豊かなものにしてくれるはずです。ぜひ、今日から一つ、何か気になる機能や設定を「ちょっとだけ」試してみてはいかがでしょうか。