タスクの向こう側を見る:日々の「なぜ」探しで見つけた小さな発見
忙しさに紛れて見失いがちな「なぜ」
日々の業務に追われていると、目の前のタスクをこなすことに精一杯になりがちです。特にルーティンワークや、誰かから依頼された業務の場合、「なぜこれをやっているのだろう」「このタスクの最終的な目的は何だろう」といった根本的な問いかけを忘れてしまうことがあります。言われたからやる、期限が近いから急いでやる、といった状態に陥ると、業務の意義が見えにくくなり、単なる作業として感じてしまうかもしれません。
しかし、ほんの少し立ち止まって「なぜ」を考えてみることで、業務に対する向き合い方や、得られる結果に小さな変化が生まれることがあります。これは、忙しい日常の中で見つけた、私にとっての「小さな発見」の一つです。
「なぜ」を意識することの価値
タスクの「なぜ」、つまりその目的や背景、そしてそれが最終的に誰にどのような価値をもたらすのかを意識することは、いくつかの点で業務に良い影響をもたらします。
まず、モチベーションの向上に繋がります。自分の行っていることが、より大きな目標や他者の貢献に繋がっていると理解できれば、単なる作業ではなく、意味のある活動として捉えることができます。これは、日々の業務に張り合いを持たせるための大切な要素です。
次に、業務の質や効率の向上に繋がります。「なぜ」が分かれば、単に指示通りに行うだけでなく、より効果的な方法はないか、無駄な手順はないかといった改善点に気づきやすくなります。目的達成のために最も適したアプローチを自分で考える余地が生まれるのです。
さらに、予期せぬ問題が発生した場合の対応力も高まります。目的が明確であれば、状況に応じて柔軟な判断を下し、目的に立ち返って代替手段を考えることができます。
日々の業務で「なぜ」を探す小さなヒント
では、どのようにして日々の業務の中で「なぜ」を意識する習慣をつけることができるでしょうか。いくつか試せる小さな方法があります。
- タスクを受ける際に一言確認する: 新しいタスクや依頼を受けた際、可能であれば依頼者に「これはどのような目的で行うものですか」「これが完了すると、誰のどのような役に立ちますか」といった質問をしてみます。背景を理解することで、タスクの優先度や重要性を正しく認識し、より適切な対応ができるようになります。
- タスクリストに目的をメモする: 自身のタスクリストやTo-Doリストを作成する際に、単に「〇〇資料作成」「△△会議参加」と書くだけでなく、そのタスクが「何のため」に行われるのか、短い言葉で横に追記してみます。例えば、「〇〇資料作成(部長報告用、意思決定の判断材料に)」「△△会議参加(プロジェクト進捗共有、課題解決策の検討)」のように、目的を意識することで、タスクの重みや必要とされるアウトプットの質が見えてきます。
- 定例業務の「当たり前」に疑問を持つ: 毎週行っている定例会議や毎月提出しているレポートなど、慣れてしまっている業務についても、改めて「この目的は何だろう」「今もこの形式が最適だろうか」と自問自答してみます。状況の変化により、目的が薄れていたり、より効率的な方法が生まれていたりする可能性があります。
- 過去の成功や感謝を振り返る: 自分が担当した業務で、顧客や同僚から感謝されたり、良い結果に繋がったりした経験を思い出してみます。その時々の自分の行動が、具体的にどのような「なぜ」に貢献できたのかを言語化してみることで、日々の業務の点と点が線で繋がるような感覚を得られることがあります。
「なぜ」が見つかったその先
これらの小さな「なぜ探し」を実践していくと、これまで何気なく行っていた業務にも、新しい意味や価値が見出せるようになります。それは、業務に対する責任感や主体性を育むだけでなく、周囲とのコミュニケーションにおいても、「なぜ」を明確に伝えることで、よりスムーズな連携や協力体制を築く助けにもなります。
日々の忙しさに流されず、意識的にタスクの「なぜ」に目を向けること。それは、単なる作業者としてではなく、目的達成に貢献する一員として、自身の業務を捉え直すための小さな、しかし確実な一歩となるでしょう。そして、その一歩が、新たな発見や成長の機会に繋がっていくのだと感じています。